山田有浩 / Arihiro Yamada

Information of Arihiro Yamada (dance, butoh / ダンス, 舞踏)

11月13日 土曜日、晴れ。






・山から街に戻る。陽光の質感や木々の葉の色もすっかり変化している。帰ってからも、木の葉の色の変化を刻一刻と見てとることができる。


・あの日の早朝、蜘蛛の薄い糸に絡めとられた草花を朝露の粒が夥しく覆い、宝石を散りばめたようである。

・踏みつぶされた蟋蟀の為に、。

・蜜蜂たちの通り道、の下に寝転がる。

・身体の上に蝶がとまり、交尾している赤とんぼがとまる。輪っかになる。羽根をキキキキューッ……、と反らせる。交尾したままに飛び去ってゆく。


・あらゆる場所に国境を見る。

・山々に囲まれた窪みの土地に降ってくる音、聞いたこともないような長い時間差のある幾つもの反響が折り重なるようにして降ってくる…。夕暮れの遠い犬の声。

・空へと木霊す鳥の声は孤独な者の声。

・早朝四時、あまりに大きな星座群に見入られ、私が星座なのか星座が私なのか、歯を磨く。歯磨き粉は付けない。

下弦の月は一度目をとじて上弦の月となる。空にポッカリと、切れ目が出来る。



・言語がある限り、人は風景にはなりえない。

・言語以前の意識の状態。

・無意識との遭遇。毎日、夢を見る。夢の象徴性。子どもたちは象徴と遊ぶ。

・記そうとする、ということは、絶え間なく現われては消えつづける「現在」に対する墓碑のようなもの、と確認。(あくまでも私にとって、のこと)。


・小学生の頃に感じていた感覚が今になって突然甦り、その意味が明確に理解できる。銀河の中心にあって、孤独なこの身体の樹を。

・こんなにも、どこまでも無意識の底を水脈のようにして流れつづけていたのだとは……、と、約15年を経て身の回りにやってきたものたちを見ていて思う。全く関係のない道を歩いてきたように思えて、実はその奥深いところで、常に自らの無意識はそれを手繰り寄せようとしてきていたのだろう、。


・草原を、生命体として眺める。

・再び、落ち葉を集めることから始まる。水を流す。私は消えつづける。世界も消えつづける。