2010-01-01から1年間の記事一覧
コートに付いた涙の後がなんとなくいとしくて消せない。 朝のバスに揺られて住宅地を抜ける。 数える日々。 見ず知らずのおばあさんの手を引いて、お寺の階段を下りた。 ぼんやりと、燈籠に植木。 夜を待つ。
小雨降りしきる冬の夕刻、樹に群れる鳥たちがひどく騒ぎ立てる。 白い花が咲く道を通って、武満さんを聴きにゆく。 唄に始まって、コラージュ、タップ、プリペアドピアノ、薩摩琵琶、骨壺、四重奏、ハープ、バンドネオン、テープ、サックス、、、……なんとも…
朝、寒い。 竹を見つける。 紙を見つける。 桃を見つける。 水琴窟を見つける。 畳を踏んで。 風をつかまえる。 小石をばら撒く。 押し入れを見つける。 雨戸が鳴りやまない。 うぐいすばりを踏んで歩く。 初めて聞いたラジオを持ち歩く。 1905年の曾祖父が…
柿を頬張る。 雨がパラパラと降る。 埋もれ木をみながら。 何ものにも動じないしづかなこころで。 ストオブが燃える。 明日まで眠りなさい。 明日までたどりつけるかも分からぬのに。 テープレコーダーに話しかける。 かえりなさい。 祖父の詩集をぱらぱらと…
人生の中のほんの十分間で、ちかくの観音さまのところへ行く。 そのほんの十分間の中で、パラパラとやってくる雨はすっかり大降りになる。 あと五分程で店を開ける銭湯の前で、老人たちが雨宿りしながら会話に花を咲かせる。 公園の前で黄色い傘をさして歩く…
世界がやけに妖しい薄紫色に染まっている。 銀杏並木を進む。 干し芋を含む。 年寄りが子どもの手を引いて歩く。 子どもの声が夕闇に遠く木霊する。 近頃、さまざまなことを思い出してはすぐに眼から水が溢れる。 体質が変化したことを実感する。 必要なエネ…
・山から街に戻る。陽光の質感や木々の葉の色もすっかり変化している。帰ってからも、木の葉の色の変化を刻一刻と見てとることができる。 ・あの日の早朝、蜘蛛の薄い糸に絡めとられた草花を朝露の粒が夥しく覆い、宝石を散りばめたようである。 ・踏みつぶ…
11月10日まで、留守にします。 電話もメールもつながりません。 また生きてお目にかかります。 お元気で〜。
更に肌寒い季節になってきました。 久しぶりに晴れて気持ちよい。晴れの日の寒さはまた格別ですね。 今日も落ち葉を集めることから始める。 古い山の紅葉が懐かしい。祖父の見ていた湖の紅葉が懐かしい。 いつも水を撒く。 風に草が揺れるように踊る。状況に…
お赤飯を食べる。風が強い。たくさんの落ち葉が舞い落ちる様が圧巻。落ち葉を集める。焚き火したい。蕪村さんを開いて歩く。布を広げよう。白と黒と光だな、色だな、一番下を吹く風。台風という生命と磁力。浅瀬。あ、今日だった。中国語しか話せない女の子…
・電車の中、韓国語を話すお二人が、御馳走が山のように盛られた大皿を両手に直に抱えていらっしゃる。すごい。同じ駅で下りて、同じ道を歩く。ご飯を抱えたまま、信号を待つ。脇道に入ってゆく。こういった、「飯」に対する感覚がとても清々しい。 ・蝉が一…
金木犀の薫る秋。 葡萄を毎日食べる。 豆を蒔くぞ!豆を蒔くぞ! ワイングラスに土を敷いて豆を蒔くぞ!
なんども、なんども、はじまったところへ、立ち返ろうと、 されど、はじまった地点は、私という個人を越えて、どこまでもどこまでもつづいているからして、始源へと、立ち返ろうとする試み、 つづけます、 私のなかの、その生の核心から、否応なく漏れ出して…
肌寒い季節になってきました。 みなみなさま、お身体にお気をつけくださいね。 ご近所さんから甘栗をたくさん頂きました。 おいしくって、毎日楽しみに食べています。 先日まで、 巨大な岩石が海中から突き出ているのを間近に見たり、してきました。 大量の…
土砂災害や川の増水、強風や高波に注意を、 と、ラジオからまくしたてる、 降り続ける雨で、水溜まりがだんだん大きくなっています、 と、声が街中を電波の上で飛び交ってから数日、 その一寸の慌ただしさも過ぎて、 まるで暑さまでも連れ去ってくださったか…
観てくださったみなさん、 どうもありがとうございました。 なにかひとつでも、 (あ、みつけた、)というようなものがあったら、 幸いです。 お月さんの下で唄えて、 嬉しかったです。 風鈴と、花と、花火と、水と。 ピンク色の茎のオブジェ、。 形式が崩れ…
明日です。 遠のく日の光 樹々のきらめき 遠のく耳の音楽 ひぐらしも凧も 遠のくことば 虚空にこだまする声 遠のき消えゆくすべてのいのちのいろどりの色 くらいあをみどろのおどろのみだれのどろどろの はてしないくらやみのなやみのなみの無のなだれ のむ…
なかなか更新せず ご無沙汰でごめんなさい。 髪を切るも、 どうも"いまどき"っぽくて身の丈に合わず。 顔、からだ、髪型、服、靴、心持ちなどが見事に分裂したような ギクシャクした思いを引きずって生活している。 毎日別人のような空気を纏っているような…
からからから、と。 かみさま。 手をつないで歩くハハと娘の後ろ姿。 手記に花が挟まって。 (もっと身体の奥深くの方へ………) 水と貨幣と神さま、法 /人生をかける 行為を抑制すること。 (母の胎、宇宙の胎で、音を立てる……) ビリー・ホリデイさんのさい…
川辺に行けば、水と木と石と戯れる。風と戯れる。赤い糸が宙で弧を描く。コップが鳴る。太古は太古、太鼓に太鼓。地面の底から這い上がってくるような音が欲しい。低い音の振動が身体の奥まで響いてきた。響かせるには水さえあれば良い。トンカチで鐘を鳴ら…
遠い遠い異国の風の匂いを。 遠い遠い彼岸の彼方から肌に触れてくる風を。 遠い遠い太古の風の吹き溜まりを。 からだのなかに立ってゆく風の細道を。 したたり落ちてくる原色を。 遠くかき消されてしまった足音を。 だれかが忘れていった記憶を。 しづかに沈…
山田有浩 / Arihiro Yamada 踊り手。音楽活動(作曲、即興演奏)、音楽人類学研究ののち、2010年の岩名雅記との出会いにより踊りはじめる。2013年、室伏鴻に師事。 ソロ作品に『重力の水面』(2022・東京)、『螺旋歌』(2018・東京)、『〈孤絶-角〉』(2015…