09月05日 日曜日、晴れ。
明日です。
遠のく日の光 樹々のきらめき
遠のく耳の音楽 ひぐらしも凧も
遠のくことば 虚空にこだまする声
遠のき消えゆくすべてのいのちのいろどりの色
くらいあをみどろのおどろのみだれのどろどろの
はてしないくらやみのなやみのなみの無のなだれ
のむらさきのむらぎもの苦のくねりのくちなはの
死へのしづみのしおのめのめしひの目のさまよひ
・・・・・
もはやなにもみない
もはやなにもきかない
もはやなにもおもはない
をんなの髪のにほひ肌のにほひやはらかな肉のやみの磯のみづのにほひ
にもはやおまへはふれないおまへはをののかない
ひぐれのしぐれあけがたの雨
のかすむこずゑのささやきにもはやおまへはをののかない
水にゑがく絵 砂にかく文字 すべてのいのちのいろどりの
いとなみの意味はおまへにもはやいらない
むなしさのむなしさによるむなしさのための
すべてのいとなみの意味はおまへにもはやいらない
すでにおまへでないおまへの
むくろのむき身の<無>の精液のしたたり
のひかり
(那珂太郎「鎮魂歌 I」より)