山田有浩 / Arihiro Yamada

Information of Arihiro Yamada (dance, butoh / ダンス, 舞踏)

7月。



1日
早朝、浅間山が紅く染まる。
ネパールの二人とお別れ。
突然の夕立ちにトラクターのトタン屋根の下で雨宿る、東南アジアみたい。1キロ程先に虹が架かかる。
鳴りつづける空、ぬるま風、とぐろを巻くように昇りつづける靄。
電話でのしゃきっとした声に背筋をピンと張る。
2日
腰痛し。ブロッコリーを採るのが一番の楽しみ。
3日
雨の中の労働、ほとばしる躍動、リズム、腹の底からの掛け声、踏みならさるる大地、
うたの起こり、マツリの起こりについて想ふ、雨の日に鳴らさるるべきはやはり太鼓なのだと。
草津温泉で冷えたからだを温める。炭酸飲料を飲む。
4日
朝から失態の続く。挫折の日々、打ちのめされながらも揚々と上を向いて歩む。
夕陽がきれい。
夜、酒を飲み交わす。トランプで手品。
5日
終日、大根にかかりきり、泥水を浴びる。
天の川の天体から立体的に降ってくるよう。桃ジュース飲む。
6日
狂ったように花で溢れる喫茶にて、ビーフシチュードリア食す。南方熊楠を捲る。
土地の老人より、狐に化かされた話を聞く。県境のけもの道、狐の嫁入り
浅間大滝にて踊りながら滝に打たるる。踊っていると恐怖心の消える。
からだが冷えてふるえがとまらぬので風呂にゆっくりと浸かる。
7日
早朝、倉庫と倉庫の間に張られた巨大な蜘蛛の巣に水玉が散りばめられており筆舌に尽くせぬ美しさ。
「we're both alone」、電話にて呼応する。
8日
昼、倉庫で地域の合同説明会、珈琲ミルクがおいしすぎて失神もの。
疲れがピーク。朝夕の雨。昼間は汗だくでプールに入りたし。グレゴリオ聖歌を聞く。
9日
燕の子らの飛行訓練、不安定。
遠くから雨の音、雷の音がしてくれば、次期にこちらも。
10日
踊りのWSの夢を見る。どこかで会った女性。
自然や植物や土や鳥や虫や天気や気候や季節などを、
もっと繊細につぶさに、素朴に観察したし、。
11日
「時間喩」について。目の前のものを別のものに変えてゆくこと。
雨宿りに誘ってくれて、珈琲まで煎れてくれたレイチェルカーソン女史に似たおばさんと話し込む。(笑うやつは笑え)、と、ひとり、花を育てる。
12日
自分は人を動かし引っぱってゆくタイプではなく、陰から支えてゆくタイプだと思っていたけれど、切羽詰まればガンガン引っぱってくのだなぁ、と驚く。
夜、三時間話し続ける。
13日
飴屋法水演出『おもいのまま』を観に東京へ。
音響がグイグイとうねりをもって食い込んできてぐわんぐわんと揺さぶらるる。
大友×田口×飴屋鼎談、新宿にて。知人があまりにも多くて可笑し。思わぬ人とも再会し、あははは、と。
そのまま新宿にて明かす。
14日
朝、サンドイッチとオレンジジュース。
池袋へ移動し、時間までミルクシェイクと珈琲を傾けてから高速バスに揺らるる。
雑誌「國文学:折口信夫特集」読み進める。
15日
キャベツ畑の女王に二度も出会う。この畑の中枢に蝶や蜂が集う。
絶望を、更にもう一段深めてゆくこと、。自らの魂、自らの止め処もない絶望や悲嘆に見合ったことばを探してゆくこと……、。
16日
テキパキとやることを終わらせたのち、ダッシュで中軽井沢、夜行バス。
偶然の長倉神社での花火大会に見送らるる。女の子と子どもらがきれい。駅長さんに感謝。
17日
早朝、京都経由で難波着、堺まで電車、一年振りに帰ってくる。
マクドにて充電しながら折口信夫、人待ち。
会場はいつもの顔ぶれ、やあやあと再会。風と光。
今回は、石、薪、藁、鈴、風鈴、おはじき、糸電話。芸に狂うこと。
クライマックスで抜け出し、夜行バスに飛び乗る。にしても、ustream様々…。
隣に女性の寝顔があれば、ついつい見つめてしまう。
18日
早朝、中軽井沢着。車で畑へ、フィッシュマンズを聴く。そのままキャベツ採り。
石川修武さんの建築の前。
19日
大雨により夕方に仕事終わる。草津温泉にてからだ休める。
PCが不調。
20日
再び大雨により仕事早く終わる。またも草津温泉にてからだを温めた後、焼き肉をたらふく食す。
芋焼酎一杯でふらふらになる。
21日
夢、空を見なかった人、今年は赤い着物はどうですか?
仕事仲間が増える。何事も本気でやんなきゃつまらない。
セロリを採りはじめる。
カステラを食す。パエリアとカボチャスープの絶品。
22日
夢でgozo-cineを観に行く。現実では行けずとも、想いで訪れる。
朝、寒すぎて引くが、午前中にはもう汗びっしょりの日射し。狂ったようにキャベツを収穫す。
23日
フクシマと久しぶりに電話でつながる。
芋焼酎飲む。
24日
早朝の仕事前にビスケット。
青と黒の蝶を見る。珍しい。
25日
夕方より思わぬゲリラ豪雨で全身びしょぬれ、
テンション最高潮でキャベツを採りつづける。発注は待ってくれない。
携帯電話が水で壊れかける。
発声と呼吸のWSを開く。
毎日、茄子料理が絶品。
26日
朝から壊れかけの携帯電話が勝手に人に電話をかけつづけているため、
長く連絡取ってなかった知人から連絡来る。話せてよかったけど。。。
畑で長細い蛇を見る。
自然の中にはピンク色がたくさん潜んでいる。
二十時には爆睡してしまう日々。
27日
不二洞(鍾乳洞)を訪れる。異界に触れる。彼岸から此岸へ。
乙女の滝にてヴィデオを回しながら踊る。
龍神の滝にて踊る。相も変わらず石を拾う。
崩れかけた部落の崩れかけた寺にて、木の板に刻まれた詩。
巨木とアオスジアゲハ。こちらに来てから、「不動」ということについて考える機会が多い。
風景を眼に焼き付ける、のではなく、からだの細胞ひとつひとつに吸い込むように向き合う。
吉増さんによる賢治の朗読と、武満さん音楽の「怪談」を聴きながら走らせた。
峠にて、自転車の少年たちとすれ違う。紫陽花通りに胸躍る。
28日
雨降りの早朝、レタスの中からモンシロチョウが出てくる。
雨曇りの日はカイロス時間がとても緩やかである。もんぺを愛用す。
天麩羅蕎麦がうまし。
ビーサンが届く。
夜、密会す。
29日
雨のち晴れ、時々雨。荷を送る。
オムライスとコーンクリームシチューが絶品なこと。
30日
巨大な朝靄群が山の向こうからむくむくと立ち昇りゆっくりゆっくり移動してゆく。
道路で雉を轢きそうになる。
狂ったように箱をつくる。
御代田にて龍神祭り。うねり舞う巨大な二匹の竜、炎、煙、花火、。どしゃぶりの雨。たこ焼きと牛カルビ。
31日
雨のち曇り。時が早し。
昨日、牛たちがえらく騒いでいたのだけれど、今朝みんな連れてかれた。
午前の休憩時に電話で話す。
大勢の燕の子らが上空で飛行訓練しつづけている。飛行不安定な子を轢きそうになる。
花豆の柵を覆い尽くした草を刈る。
熊にモロコシをやられる。