山田有浩 / Arihiro Yamada

Information of Arihiro Yamada (dance, butoh / ダンス, 舞踏)

【告知】分裂するブラック・ミュージック

分裂するブラック・ミュージック


[日時]2023年10月5日(木)19:00open  19:30start(終演後、トークあり)

[場所]カフェ・ムリウイ(世田谷区祖師谷4-1-22-3F)

[料金]¥2500(+1drink)

[ご予約]mbvyamada69@hotmail.com  (25名限定・要予約)

ブラック・ミュージックと言っても、幅は広い。ブルーズ、ゴスペル、R&B、ソウル、ファンク、ジャズ、スレイヴ・ソング、黒人霊歌、ヒップホップ、レゲエ、ディープ・ハウス…、派生していったものまで数えればきりがない。

数年前から、ブラック・ミュージックに焦点をあてた公演を行いたいと考えていた。
ますます息苦しさが加速するこの時代に、ブラック・ミュージックが持つ強度とともに、どのような身体を晒すことができるか。
ただし、ブラック・ミュージックを都合よく味方につけようというのではない。逆だ。安易に身をまかせてすむような、そんな幸福な段階は既に折り返している。(気候危機のティッピング・ポイントを重ねてもいい)。

そこで、ここにもう一つ「分裂」というキーワードをあてている。「分断」ではない。「分裂」だ。
その意味をどのようにとるかは、ここでは各自の想像に委ねたい。
ブラック・ミュージックそれ自体も痙攣し、分裂していく場。

そこに今回、アフリカ・ルーツのパーカッションと、言葉(詩、歌詞、マニフェスト等…)も呼び込んでみる。
音、言葉、声、響き、身体、リズム、領土、記憶、空白、痙攣、分裂、…。

ブラック・ミュージックに感じられるある種の強度、それはいうまでもなく黒人の歴史と無関係ではないだろう。切実な歴史だ。
さて、我々が生きるこの時代もまた、「危機の時代」といわれる。
音に、言葉に、身体に/で問う。

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[プロフィール]

委細昌嗣 (音響)

菊地成孔主宰「新音楽制作工房」所属。ギターを菊地晃氏、ポピュラー音楽理論菊地成孔 氏、クラシックギターを原善伸氏の各氏に師事。映像や映画音楽の制作に携る。2015年1stアルバムをリリース。フランスの現代音楽作曲家 Brunhild Ferrari氏から推薦コメントが寄せられる。現代音楽家 Luc Ferrari氏の国際コンクール プレスク・リヤン賞2013 最終選考ノミネート。フランス パリのインディーズレーベル Tsuku Boshiより EPを2枚リリース。フランスのアート団体Les Soirees Dessinees と共にパリのオルセー美術館ルクセンブルク美術館でのパフォーマンス等、音楽を超えた独自の表現を確立している。


究極Q太郎 (朗読)

1967年。埼玉県出身。詩人、朗読者。私家版詩集に『蜻蛉(あきづ)の散歩~散歩依存症~』(’18)『にしこく挽歌』(’23)。地域で生活する重度障がい者(身体、知的、視覚、難病…)の介護を30年以上に渡りしている。『現代思想 特集=身体障害者』(’98年2月号/青土社)の編集に参加。

また、だめ連(レールを敷かれたような生き方とは別の生のありかたを模索する集団。’90年代前半、神長恒一、故ペペ長谷川により始まる。本に『だめ連宣言』(作品社/’99)、『働かないで生きるには』(筑摩書房/’00)等)の多岐にわたる活動に参加。’98年、そのたまり場的なスペースとなる「あかね」の立ち上げに参加。周囲の介護利用者、介護者、また二年前までスタッフをしていたあかねの利用者(客ではない)、福島市に住む友人ジョニー渡辺と彼の福島市の知人たちとともに同人誌『甦rebirth 福島文芸復興』を発行。『アナキズム』紙に海外ニュースを連載中。『ユリイカ 特集=小田久郎と現代詩の時代』(’23年8月号/青土社)に『詩は無力か?』を寄稿。連絡:gumicho331@gmail.com


タケダヒロユキ (パーカッション演奏)

90年に西アフリカの太鼓ジェンベに出会い、その魅力に取り憑かれる。以来、日本、セネガル、マリ、米国でアフリカンドラムを学ぶ。その後、ダンサー武田マリと共に、ダンス&ドラムグループ「アフリカングルーヴ(アフグル)」を立ち上げ、太鼓の生演奏で踊るダンスクラスを中心に、ドラムクラスやリズムワークショップ、パフォーマンス等を行ってきた。最近は、他ジャンルのアーティストとも積極的に交流し、音楽はもちろん、コミュニケーションやヒーリングにも繋がる様々なアフリカンドラムの可能性を体現すべく、活動を行っている。

 

山田有浩 (身体)

作曲や即興演奏活動を経て、2011年より踊りはじめる。室伏鴻岩名雅記のもとで舞踏を学ぶ。ソロ作に『重力の水面』(2022)、『螺旋歌』(2018)、『〈孤絶-角〉』(2015)など。室伏鴻や芥正彦ホモフィクタス、DanceMedium等の作品や国内外のダンス・フェスティバルにも出演。無音・無照明の即興独舞シリーズ、川原や海岸での不定期公演、他ジャンルとの共演も行っており、大出早池峰神楽岩手県遠野市)の舞手でもある。文芸誌に寄稿多数。共著に『シ、ミ、ル共振ipyrima』(2016、ART SPACE出版)等。修験道沢登り、重度訪問介護なども行う。

【告知】「HAKOBUNE 放射されるアート」(6月)

2023年6月4日(日)15:00start 山田有浩ソロ・ダンス

場所:諸磯青少年センター(〒238-0224 神奈川県三浦市三崎町諸磯1870−1)

*アクセスは以下チラシのB面に詳細あり

 

美術家倉重光則氏企画による、28人の作家が参加する展覧会、オープン2日目に踊ることと相成る。

倉重さん企画の展覧会で踊るのは2016年9月、千葉県江見海岸で行われた「不良 思考する家」展以来のこと。図らずも夕日の沈みゆく黄昏に染められた浜辺での忘れられないパフォーマンスだった。(写真:展覧会「不良」オープニング・パフォーマンス)

今回も、会場は都心部から電車で約2時間、そこからさらにバスで約20分行ったところにあり、なかなかの道程を強いてくる。移動の過程それ自体を体験させようという目論見がハッキリとあるように思われる。その距離が、身体とこころのありように作用する。

場所は廃墟のようなガランとしたハコらしく、写真を見て「反逆する風景」(辺見庸)という単語を想起する。さて、どんな身体が導き出されるか。ワクワクしかない。

 

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「HAKOBUNE - 放射されるアート」

会期:2023年6月3日(土)〜7月9日(日)

開場:11:00〜18:00(土日のみ開場)

場所:諸磯青少年センター(〒238-0224 神奈川県三浦市三崎町諸磯1870−1)

 

伊予神楽@宇和島市長堀 三島神社

ライフワーク的に全国の神楽を観て回っている。

4月14日、伊予神楽を観るため、愛媛県宇和島市長堀 三島神社を訪れた。covid-19の影響で、お客さんを入れての奉納は四年振りとのこと。

四国の舞いを観るのは初めて。春に行われる神楽というのも珍しい気がする。

 

神楽なので、むろん天孫降臨等の神話を題材にした舞いは多いものの、「物語る」というよりも、舞いによって呪術的な空間をつくり出していくような色合いが濃い印象。

神職しか舞ってはいけないということ、一見して素面の舞いが多いようなことから、世俗性よりも神事としての側面が強い、と言った方がいいのかもしれないが。

自転・公転の旋回と、一度ドンと踏み鳴らす動きが特徴的で、いずれの舞いにもこの動作が反復的、応用的に見られることが多い。

 

もともとは35演目を夜を徹して行っていたそうだが、現在残る舞いは10数演目とのこと。

途中、場内を一挙に笑いで温めるような演目(子供が鬼と相撲をとる)が挿入される一幕もあるが、世俗性のあるものはそれくらいで、場が深まるに連れ、どんどん表層的な演出は削がれてゆくように見えた。

松明の炎を持って激しく旋回する舞いはとりわけ印象に残る。最後には素手で火を消して終わる。

また、真剣を旋回させる一人舞いの迫力と緊張感。

この辺りの舞い、かつて夜神楽を行なっていた頃には、丑三つ時も回ってお客も完全に酒が回りきってうつらうつらするような時間帯に行われていたのだと思われる(宮崎に残る夜神楽を見ていると、やはりこうした夢幻的な時間帯に最も鋭く危険な舞いが厳粛に舞われている)。

 

神社は完全に「地元の祭り」といった風情で、ほとんど小中学生とちびっ子とその保護者、そこに高齢者がチラホラという程度。外部からわざわざ観に訪れるような物好きはほぼいないに等しく(「神楽マニア」やカメラ愛好家すら…)、子どもたちも鬼相撲から最後の餅まきの間しか神楽を観に上がって来ないのが、いささか勿体ない。

しかし古く厳かなかたちが残っていて、わざわざ関東から観に行けてよかった。

 

それにしても、宇和島という、縄文や黒潮や大和からの文化が混淆し合う不思議で豊かな土地も魅力的だ。海鮮も安くてめっぽう旨い。また訪れたくなる土地だ。

 

【拝見できた舞い】

・式三番

・喜余女手草舞

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・古今老神舞

・身躰鈿女舞

・悪魔払舞

・大蛇舞(鬼之舞)

・弓之舞

・火焼舞

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・妙剣舞

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【出演】rendance @WWFes2023 出演しました

2月12日、Whenever Wherever Festival 2023でのダンスアラウンド "rendance"に参加した。

"rendance"という企画、①トーク ②ダンス ③空間内の移動 ④空間づくり の4つパートを、出演者(今回は27人)が1パートにつき1人づつ3分毎に順番に回してゆく…、というゲーム形式のショーケース。

こうした企画で、自分が踊りにおいて大切にしているものをきちんと出すことができるのか…、という疑問はありつつ、しかし折角お声がけいただいた機会なので、自らを試すつもりで出演。

 

たった3分間のダンスで一体何を見せることができるのか…、とは思うものの、①の「3分間のトーク」における各人の振る舞いや話される内容、語りのトーンは、良くも悪くもそれぞれの踊り、及びそれとの向き合い方の姿勢をネガとして映し出しているようでもあり、それが②の「3分間のダンス」と掛け合わされることで、結果的に、露わになるものがあったように思う。

また、③と④があることで、普段の「ダンサー」としての技術や意識を外したところで、その人の好奇心のあり方や、瞬間的なアイディアの強度、瞬発力が試されるようにも感じた。

結果的に、私自身がどういった姿勢なり覚悟で踊っているのか、身体において何を問題にしようとしているのかの一端は見せることができたように思うし、同時に、③④を通して、普段自分のダンスでは決してやらないようなところまで結果的に引き出され、露わになる…、ゆえにその人のポテンシャルが現れるのはむしろ後半でもあったのかもしれない、とすら感じさせられ、発見のある、非常にありがたい機会となった。感謝。