山田有浩 / Arihiro Yamada

Information of Arihiro Yamada (dance, butoh / ダンス, 舞踏)

12月後半。








16日(晴れのち曇り、風強し)
(夢、鈴木正人氏に招かれて大友さんとさがさん唄う、二階の風の吹く部屋、窓から見ゆるは畳と石畳の庭、。闇に燃えてゆくバンガロー、原田郁子さんとおはじきの山、遠い地の廃墟、)。
朝から友川カズキさん、特に何の印象も残らずに過ぎた日であった、プルコギ丼食す、店はじわじわと衣替えして来て居る。林英哲さん聴きながらカフェーにて推敲の続き、レモンティーにハマって居る今日この頃。
客がまるで来ず、開演時間大幅に遅るるも若干の人入り始まる、しかし今宵は今宵とてとても良きものを見せて頂きました、想いがあれば空気は広がってゆくもの、やはり人柄が出るものだと感ず、赤裸々すぎて面白し、この方はこの方で身体張って立っている、音楽があることで立てている姿が在る、初めて訪れたと云う女性が見つめる瞳も良かった、何故か懺悔と来年の抱負の話…、老齢のマネージャー氏が悉く面白すぎた、あみだくじの件、やはり収まるべきところに収まるのだな、と云うことも含めて、此処に居られたことに感謝。
帰り道、金ピース買ってみる、飲むというのがよく分かる、空を見てみた。
勢いでGちゃんに声をかけてみたことからとても面白い展開が始まりそうでわくわく。昨今の私の此の苛立ちを抱えつつと云ふ変化は良いのか悪いのか、もう少し泳がせてみる。

17日(晴れ)
(夢、岩名さん首くくりさん室野井さん沼田さん岡山さん等が八十年代に組んでいたグループ、渋谷から原宿辺りの倉庫クラブクアトロを探して歩く人々、。女と女の強烈な火花のドラマ、暗き階段、Nの女性遍歴を嫌悪する女性、)。
鏡の音楽、。/朝、電車にて眼が乾燥して涙出るわ鼻水出るわ嚔が出るわ…、Hちゃんと『雨月物語』の話から明治大正史の話で盛り上がる。身体の重心を瞬間的に移動させることで空間を俊敏に動くこと、を、自然と試みて居る。ゴボウとベーコンのパスタ。少しずつシステムが変化して来て居る、自らの仕事をきちんと遂行して行くこと、動かして行くことに就いて、遠巻きにも肌身で識る、自らが此所に居るということに基づく責任及びプライド、職人。
『オラツンジコンサート』爆音で聴き帰るがコルトレーンってやっぱり真面目な人ね、『宇宙時代のジャズ』と『僕はランチにでかける』聴き鱈と野菜を食らう。ビバップインド音楽もリズムを倍速でとるのは基本、此れは微小なものの中に無限に宇宙を捉えてゆくことと繋がる。ラヴィ・シャンカール聴き、来年の二つ目の新たな構想浮かぶ、まさに"今"やって来ている幾つかの繋がりを更に繋いで行けるか、。敵をつくる、自分の内に、男性原理と女性原理に就いて、。全て自分にのしかかって来ることである、それでも明日の朝は早いということが、救いなのか何なのか、震えて生きる。姿。阿部薫の姿。
古田さんが本日より四夜かけて動画を上げて下さる、やはり古田さんの映像は好きです、。動画に寄りかえって露になって見えるものもあり勉強になる…、もっともっと繊細にうごきを磨いてゆかねば…、それが音の繊細さとも結びついてゆく、それに間を詰めると云うことも足りず、課題は多い。

18日(晴れ、寒し)
(夢、現実にかなり浸食されて心理をそのまま映し出したような…)。
寝坊、しかも手持ちのお金もなくて困った朝、銀行が開く迄待つ。様々な人の業に就いて思う、此の不安定な時代に置いて。プルコギ丼食す、休憩中グールド聴き寝る。兎に角忙しいが、本日もより俊敏に無駄を削いだ動きをして行くのが面白し。
生き物はバランスを取ろうとする、初旬からの反動が来ている模様、正面と背後の問題に就いては十二月に入ってずっと念頭に在る、。不安とは一体何か…、晒すことによる、最後まで見届ける覚悟、。自信を失いかけるもアイラー『ラヴクライ』に救わるる。煙草は一日三本に留める。大友さんとユザーンのセッション少し見る、歪みの格好良し。高柳さんの歪みに就いて、。
古田さんがつくって下さった動画の第二部、<動>に入って行った処、今回はリズムに別のレイヤーからのノイズが入るのがスリリングだった、との意見も多々聴かれたことを思い出す、。敢えて少しズレた角度から云うと、歴史を記すと云うこと、其処での"空白"、語り得ぬ取りこぼされし細部、そして其処に在った全体の空気のこと等に就いて考えるきっかけも貰った気もして、成る程、と…、如何にしてその間を繋いで行くか、なのだろう、歴史を語る、とは。しかし"行間"が出来ることでまた異なった可能性が生まれるということも有り得る。他者の視線を置くと云うことはこうした往還が生まれるのが面白いんだなぁ、。ひとりひとりの中に此の作品があって、あくまでもこの動画は古田さんによる目線が作品として結晶化してる、と云うこと。出来ることならいらしてくれたおひとりおひとりの中の結晶化されたものを覗いてみたい処だなぁ、とも思ったりした、感想のお話を聴くことしか出来ないけれど…。目線って感性の批評だなぁ、ありがたい。

19日(晴れ)
(夢、カジノのようなネオン溢れる街を自転車で走る、細い路地は雑多で汚い。部屋、インドの子どもたちと共に見るような…、映画を二段ベッドの向こうに投影し。Uさんがとても構ってくれしこと、そして私は彼女にそつがなきことをしてしまった過去を抱えつつ只々申し訳なさと感謝を、。古代エジプトの鍵で遊ぶ子ども、店に日本の怪奇小説を置く、名前はまだない猫について、硝子テーブルの下に書物、)。
最終稿提出、手紙綴る、音源編集終了、郵便局。神社。野菜山盛りのうどん食す。何故今、高柳昌行田中泯の言葉ばかり読んでいるのか、(身を晒し、恥を曝し、落ちるところまで落ちてみるしかないんだ、地下まで。一つの階級にとどまることは踊りには出きないこと、なぜなら踊りは自由を求め続けているのだから /土方巽)。
夜の小石川を散歩、偶然の失敗や無駄に対して機転を利かせることで自らの糧にしてゆく才能。身体を緩ませる為にこわばらせて居るのだ、。『荘子』を捲る度に眼を開かされる思いのするも其の考え方のスケールは壮大すぎて身体化させることが私には未だ困難、しかし今夜ふと想起されしことは自らに与えられた名前の意味。父、社会性に就いて。"気付く"ということを"気付き"と名詞にしてしまうことに対する違和感。
しかし動きが未熟すぎるな、と改めて感ず。むろん、魂にグッと来るかどうかは未熟か成熟してるかとはまた別問題ではあるけれど。
色んな形の孤独があるのだな、とSと話す。

20日(晴れ)
(夢、記する間もなく忘却)。
早朝、酷い満員電車で大瀧×細野、図書館で用を済ませた後、ワインレッドのカフェーにて青いインクで手紙したたむ、厚き書物開くダンディを数人見受けるヘンな店。
人少なくとも時の経つこと不思議と早き日。出産と乳幼児、産婆の話、人間にとっての自然…。アンケート、ケーキが変わる、サティやらドビュッシー。休憩時に郵便局、大変混雑しており無理を通して頂く…、走りながらアボカドサンド食す。ゴルフもまた全身で打つらしい。状況を変えようとする人より学ぶこと多し、人として、生き方として。夕刻に非常に熱きこと記し、思えば恥ずかし。久々に会うKちゃんは笑顔が良い、或ることに関し(素敵ですー、)と云われて嬉し、珈琲を傾けて一服。
商店街にて蕎麦ので前の男をすれ違う。偶然と云えば偶然だが談志師匠の貴重な話聞くこと出来る、気遣い。声の奥行きの深さ。白い落ち葉が樹にぶら下がる、此処の水の音は変わらないな、昔よく踊りに行った大日如来さんの辺りは新しき電燈が煌々と灯るようになり残念。例年よりも寒くはない気のす。
『君の名は 第一部』、前半の時間の流れや品は良いのに後半が下世話過ぎてどう仕様も無し。
三日間風呂に入れず。冷たい布団も有り難し。

21日(晴れ)
(夢、薄暗い。サッカーは直ぐに息切れた。赤煉瓦造りの古い建築に留置されゆくOさんを人込の中に笑顔で見送る…、半ば偶然のようにして、包み込むように。浴衣を選ぶ、紺と白で豊富な中より踊りを、蛇かと思えばよく見れば鉄腕アトム、千円だとか。待合室のようなガランとした休憩所、夜行バスでも待つのか)。
六十年代浅川マキとアイラー『グリニッジヴィレッジ』、(私たちが関心を寄せているのは、平和とは何か、それから人生を理解することだ。だから自分たちの音楽を純粋なままにしておきたい。自分たちも無垢でいたい。そうできれば自分たち、それと私たちの音楽を聴いているひとたちを平和と相互理解に関してもっと高いレベルに向かわせることが出来る。ルイ・アームストロングのような人たちが初期に残した演奏を今の時代にやろうとしているのだ私たちだ。彼らの音楽は喜びを体現したものだった。その時代に感じられた美についての喜びを彼らは表現していた。 /アイラー)。朝風呂。
PC作業、暖房が当たると体調が崩れる。或る約束をすっかり忘れており大変迷惑をかける…、こうした一つの過ちで全て一変してしまうことだって有り得る、人の印象もこうした一度のことで変化してしまうだろう、それは後々に響いて来ることだって在る、単純に責任感が薄いということ、。
立川談志お別れの会」へ赤坂見附まで、白き花を添えに。白い高座、黒い羽織、談志の名の"めくり"、。『次郎長三國志 海道一の暴れん坊』、マキノさんのテンポ、構図、演出、物語り方、文句無し、森繁さんも暴走しすぎるギリギリのところ、志村さんも良い役で、七五郎の女主人も格好良かった。
『お葬式』、雨と風、火葬場、最後のお母さんの言葉、共に生き共に死んで行こうというものに打たれ、塵を燃やしているエンドロールの其の視点、。
NYハーレム・クイーン、ボンセラの歌声を聴きつつ。黒人の貧民街の底からの尽きぬエネルギー、コール&レスポンスとアドリブに生き方のすべてが出る、カフェーで歌声は声で天国への路をつくってゆく様、生きる喜び、活力、鼓舞する歌声、太陽のような牧師、高き声の和声の放射されるものに圧倒される掛合いは民謡や島唄の間の手や、節談説教をも思わせ…。
キューブリック特番を横目に。移動ショットとじらし方、初期の緊張感。
やはり重力が問題だな、と。産まれた瞬間又は陸上に上がった瞬間から重力及び空気との闘いを宿命として負っているワケで、其処との交渉がない踊りは詰まらない。

21日(曇り)
(夢、YKさん、英語の試験を受けるらしく、電話で会話の試験)。
『竹山ひとり旅』、映画はしょうもなかつたが竹山の様な異様な存在感を持つ音を生で聴きたし、切に、(溟命を弾打する)音。深沢七郎のギタァと"いたこ"の口寄せ聴く。思い立って大岡昇平×埴谷雄高の対談開く、「虚」について、。武満「水の曲」を自分の中で再評価して行く為の、。
瀧泉寺、火事の話をして居た…、俳句をつくること、大鳥神社、冬の風景、母の前で泣く子、図書館、簡素な塵屋敷、。南瓜の煮物と柚子を頂きました。
聴こえている物理的な音の其の奥及び空間の空気に耳を澄ませているのだから……、身体で聴き、身体でつくる……、その為の鍛錬、共鳴させて行く為の動作、動作の中で動作を消して行くこと……、。此処半年くらい二足歩行と云うものに就いて漠然と考え続けて居るが年が変わる前にもう一つ奥まで深めたいところ、。
キムチ鍋食べながらバルトークピアノ協奏曲ポリーニ。ぶんやアリラン

23日(曇り)
レディオ、抱きしめる熊、朝が来る、窓を開けよう、絵本。人通りの少なき朝、巨大な日章旗がはためいていてギョッとす。
グラス等総磨き。カツレツ食す。人の波がある日。
一時間早く終わり、夜の渋谷の交差点で不意打つアイラーと警察。郵便局で人間模様。渋谷原宿の暗路往復、帽子・服・瓶・蝋燭・絵葉書、ドライフラワー、グラス、。色んな女の人が居るもの、。手紙と云う脆さ。タリーズ、手拭い、距離感、。筋を通すこと、品、。
路地で男を待つ女、飲んべえ横町、東京のどでかいビル、地下の書店、富士蕎麦、七十過ぎての転機(十一次元の)、人が死に行く姿、岡本喜八、。終電でMさんとすれ違う。煙草を二本。
東京流れ者』、クライマックスのドラムの音、男は女を捨てる。

24日(曇り)
(夢、地下ストリップ劇場の大広間にてYHと会う)。
『妻として女として』、二度目の鑑賞だと隅々まで違った見え方するものですな…、。蝶。『女の歴史』が去って行った男の陰立ち籠める流れの史であるように男の歴史も又去って行った女の陰の流れの史であろう、むろん業の趣は微妙に違うが、。或る人がいつも山田五十鈴の話をして居たのを思い出す…、。煮込みうどん食す。
外に出ると本日も静かな日、寺の大日如来さんの処に寄って、漸く原発国民投票の署名、ドルフィー。(中略)人間に残された最後の場処。帰ると嬉しき手紙。恒例の沢木耕太郎のレディオ聞き寝る。

25日(晴れ)。
(夢、レディオの音が遠くからずっと聞こえていたので、)。
遅い朝焼け。冬は日本のギタァ独奏もの、からタンゴ。オイルサーディンとキャベツのパスタ。蒼井優みたいな人。珈琲を頂きつつ、鉱山〜抱えて行くものの話。
新内仲三郎聴きつつ吉祥寺、洒落た街で身の置き処がないという印象で気分不良になってきたので古い路へ古い路へと入る、古本屋で落ち着ける。タイ料理に白ワインで四人で忘年会、。不可能性という前提が在るとは云え此の"場"があると云うだけで良い、その中で何を感じどのように生きるかであろう、という事が全てだろう。自分を安売りせぬこと、人間が今此所にいることの脆さ掛け替えなさ哀しさ愛おしさ、が現われてくるもの、コンプレックスから始まる、。
話に夢中になり終電逃す、隣駅で別れ歩く住宅の中、人間生きてりゃなんとかなる、公園の光の橋、星と家の灯り池に映り闇に光しか見えない、寒し、明かす、明ける。

26日(晴れ)
始発、寒すぎる駅ホームでコーンスープ、帰宅して寝る。談志「ぞろぞろ」。
渋谷、金をおろす。生西さん演出「Oddo」、発想や舞台装置は面白かったものの全体としてグッと来たかと云うとそうでもなく、近頃ちらちらお見掛けする首くくりさんのリアクションが印象的。久下さんには相変わらず刺激を受けるがもうちょっと行けたと思う。散歩して帰る。
宮本×深沢×岡本の『日本残酷物語』をめぐる鼎談。

27日
久方ぶりの荻窪、歩いており身体がこわばっているのは心配事があるからであろう、書物以外何も持たずに歩いている今日この頃。夕刻、ワインを買って行く、豆乳鍋忘年会、とにかく旨し、胡桃豆腐。Hさんの観察眼、自分はそこまで人や自然に関心がないかもしれぬが、生きて行く知恵は世の流れ等を観察し"読む"ことからも培われるものやも知れぬ。矢張りどの世界でも同じなのだと痛感、料理もスポーツも踊りも音楽も。重心の軸を掴むことについて。私に必要なある種の女性とある種の男性、0型と長男、と云った話。思いがけずも終電逃し。

28日
(夢、自分の部屋では見ないような夢を見る、Mとか色々出てくる、不安)。
人の家から其の侭仕事、仕事納め、まるで忙しくない。Yさんと初めて話した事より、余計なお世話とは思いつつも一つの生き方に就いて話す、人生について、真面目であることは良いけれどある自分の貫きたい事に関しては不良になる必要も或るのだと。其の可能性の芽を自ら摘んで仕舞うのは人生余りに勿体ない。
其の侭錦糸町のおよばれした会、こころの状態があまりに妙であり、ブルーハーブの後にルネ・フレミングを聞きつつ歩くいかがわしい街、煙草を一服して入ることで身体が少し緩む、お土産に林檎を四つ。
キーボード氏が若いのにほんっっとジャズが好きなんだなぁという事のひしひしと感ぜられ嬉しくなる、最高。まるでスケールの異なる音をクソ真面目に弾く天才性は矢張り或る程度音楽が理論的に分かる人にしか分からぬか。管楽器が沢山おり楽し。数年振りに参加したジャズセッションは不慣れな演奏しか出来ず、ジャズ系の基礎も今一度もう少し学んでみたい処。

29日(晴れ)
(夢、川上さんが私の映像を撮っておいてくれてたのですね、色々な方が。有り難い)。
早朝、サイゼリアにてクラムチャウダー、駅構内寒し、来年の目標等、年内にもう一度会えて良かつた、。
帰宅して寝る。成瀬『乱れる』
珍しくジョン・リー・フッカーなど聞きながら惣菜を買って夜の街。秋福音忘年会、演奏会も会話も楽し、初めてつくった曲も披露した、。帰りの電車でFくんKぶんとの会話も出来てよかった、



30日から、年明けて2012年1月2日まで電車で西を旅してますので、たぶんお休み。
どうぞ、良いお年をお迎え下さいませね。今年もみなさんどうもありがとう。
2012年も宜しくお願いします。