わからなくなっちゃった。
とは、彼女たちの口癖で、
何をしようとしていたのかも、
なぜここにいるのかも、
何がどこにあるのかもわからない。
わからなくなっちゃった。
大きく動きはじめた。
年末年始。
間に合わないいのちがあり(31日から葬列はあった)、
明けて急速にやつれてゆく身体、
食べ物を受け付けなくなってゆく身体、
溢れ出る光沢の泥、タール、
水分はすぐにむせ(それはほんとにわるいことをした)、
(親密さも大切ではある。信頼関係。
だがむしろ感情のその前に、冷徹に現状を把握する眼を持つこと。
人のいのちに関わる上で…)
彼は今日も礼服に身を包み革の鞄を手にして、
今日は父の葬儀だと。
そろそろ帰ります。どうも、こんなにお世話になっちゃって、と。
ひとり所沢まで行ってしまい、また保護されて帰ってくる。
人のあいだ。
人前で話すこと。つなぐこと。
冬の寒さについて。
「分かった気になると狭くなる」