山田有浩 / Arihiro Yamada

Information of Arihiro Yamada (dance, butoh / ダンス, 舞踏)

02月11日(金)、雪。






雪の影響により突如仕事がキャンセルになったため、
自室でグールドなど聞きつつ珈琲を煎れる。
うつほ(空・虚)としての、骨。について考察を重ねる。
身体の中は空洞だらけ。
身体の中に充ちる液体、に浮かぶ骨と内蔵。
身体は滅んでも骨は残る。
取り残されしもの、としての、からだ……、骨……。
ゆらゆらと揺れる骨。
振動によって響きあう骨。
骨と骨のあいだにポッカリと開いた空間。
人間だけが、"ない"ものに向かってゆくことができる、のは何故か。
重力に対して、サグラダ・ファミリアのように立っている。
(あの逆さ吊り模型!全体の重さが均等に負荷されるような構造)。


雨よりも、雪はもっと、気配としてある。
雨は直線的だけれど、雪の動きは予測ができない。
雨の音はパーカッシヴだけれど、雪の音は仄かだ。
雪の日に、しづかに音が充ちてゆく気配が好きで。
古来から、音が神の世界と関係づけられてきたことについて。
場を清めるために音を鳴らし、
神さまに呼びかけるために音を鳴らし、
また、音が鳴ればそこに神さまの訪れを視てとった。


されど今の時代、音をなくすことの方が困難な時代。
音なきことを怖れないこと。
そして太古からの連綿たるかそけき声にもうひとつの耳を立ててゆくこと。


凍てつく寒さの中、
花屋の店先に並ぶ春の花たちの内に充ちる仄かな愛の息吹の躍動が嬉しき。


再び、独りということ、について。
あらゆるものからの遠さ、からはじまる。